馬文化の真の普及を通して社会貢献できる人間になって下さい
Index
- 1.部員減少に歯止めがかかりませんでした
- 2.この三年間は少数精鋭で戦ってきました
- 3.馬術に合った練習を取り入れました
- 4.文武両道を要求しました
- 5.基本的生活習慣を徹底する
- 6.選手に勝てと云ったことがありません
- 7.現役部員達は私の誇りです
- 8.良き伝統を継承していきたい
- 9.馬文化を普及させていきたい
- 10.社会に貢献できる人材になって下さい
長島 修二
専修大学
体育会馬術部
監督
1.部員減少に歯止めがかかりませんでした
私が2011年10月の途中 三度目の監督に就任してはや三年が経ちました。最初は部員減少に歯止めが掛からず危機的状況でした。
- 2011年 8名
- 2012年 9名
- 2013年 7名
- 2014年 8名
と10名に満たない部員達と大正11年に創部の伝統ある馬術部の灯を消さないよう、必死に守ってきました。
2015年は16名体制で、やっと二桁の人数になります。いま理想の24名を目指しています。
2.この三年間は少数精鋭で戦ってきました
私の就任当初、歳を取っているけれど能力の有る馬匹が揃っていたのと、少数ではあるけれど才能ある部員たちが残っていたおかげで数々の成績を収めることができました。
- ・全日本学生賞典総合馬術大会団体 優勝
- ・賞典馬場馬術団体 3位
- ・個人でも全日本学生総合馬術大会 優勝
- ・全日本学生馬場馬術大会 2位
などこれまでの三年間 全日本学生BIG3の位置を維持してきています。
3.馬術に合った練習を取り入れました
その間、
- ・年老いた馬達の健康管理
- ・効率よい良質な練習
- ・練習時間の短縮
- ・馬匹が疲れないよう工夫
をしました。
選手には馬術の基本である乗馬姿勢の確立を徹底し、馬術理論の勉学と理解を求めました。
精神的には馬術というスポーツ特性の理解を促しました。*生きていて、意志のある馬と一緒に行うスポーツであり、馬術は馬の犠牲の上に成り立っています。
例えば陸上競技100m競争で、選手が血の滲むような努力を行いタイム短縮することは素晴らしい事と考えますが、我々馬をパートナーするスポーツにとって、(競うためのトレーニングは)馬にとって迷惑千番でしかありません。そのため良質な効率よい練習を求めてきました。
4.文武両道を要求しました
あくまで課外体育の一環である学生スポーツの為、学業を最優先し単位取得のできない者は試合に出場させず、三年終了時には卒業単位の取得している事を課し、文武両道を要求しました。(昨年は2名適いました。)
5.基本的生活習慣を徹底する
寮生活において、
- ・規則正しい生活
- ・整理整頓
- ・部屋の掃除
- ・厩舎周りの美化
- ・清潔な服装
- ・相互の挨拶
- ・他人への思いやり
等々普段家庭で行われていることばかりですが、当初はなかなかうまく活きませんでした。皆の努力で少しずつ改善していきました。
不思議なもので環境が綺麗になっていくに従い、部内に笑い声が増え明るくなり競技成績も上がってきました。
6.選手に勝てと云ったことがありません
私は選手に対して一度も「勝て」と云った事が有りません。勝つ人間は己を律し、自分に勝った者だけが、そして馬に優しい者だけが、勝利の女神はほほ笑むのです。唯それだけを伝えました。
7.現役部員達は私の誇りです
私の誇りは、この危機的状況の三年間 休みも無く、自由時間さえ与えられず、只 黙々と専修大学馬術部の馬文化を継承してくれた、
植田主将、近藤主将、見目主将、其々の主将の年代に携わった現役諸君、これからの時代を背負う、将来の部員達です。
現役学生を親身にサポートしてくれるコーチングスタッフ、そして要請に応じて力を貸して頂いた若手OB諸氏にも敬意を称し誇りに思います。彼らの存在なくして維持できなかったと思います。
8.良き伝統を継承していきたい
我が部はあと7年で創部百年を迎えます。生き物を扱い、各時代において休みもなく継続してきたこの伝統を、この馬文化を、次の時代に継げていくミッションを我々は与えられています。悪しき伝統は捨て去り、良きものだけを後輩に託しましょう。
9.馬文化を普及させていきたい
これからの馬術会はアスリートばかりに目を向けるのではなく、
- ・馬に触れてみたい
- ・馬と一緒に過ごしたい
- ・馬を見ていたい
等々馬文化のファン作りを考え、メジャーに成長していかなければなりません。
馬を使っての
- ・身体障害者の機能訓練
- ・心身障害者へのセラピー
- ・知的障害者へのセラピー
と新しい分野も焦点に入れておかなければなりません、その人材も教育していかなければなりません。
大学の教育機関として在る施設を利用し、馬を通してのあらゆる事を学ぶ場としたいものです。
10.社会に貢献できる人材になって下さい
最後に其々の部員が入部する際、今までお話してきた事をもう一度思い出す為に書きます。
専修大学体育会馬術部は社会にでる為の最後の四年間である。社会に出る最後の準備期間として、自分に不足しているものを身につけ旅だって行く事。
例えば、精神的に弱い面がある者は鍛え上げ、語学が不足している者は強くして卒業して行き、多くの友人達を学外・学内に拘わらず作る。
追記
専修大学馬術部の神奈川県伊勢原市に位置し、丹沢山系の名峰、大山の麗の大自然の中で元気にクラブ活動をしています。合宿所の屋上からは湘南海岸が遠望でき、風光明媚な場所で、丁度、山と海との中間に位置し、何時も 爽やかな風が吹いていて、馬を育むにはとても良い環境です。
現役部員は20名で、男子は厩舎二階の合宿所、女子は近隣のアパートを借り、部活動を行っています。公式練習は土曜日と日曜日で、監督を始め、コーチングスタッフと若手のOB諸氏もお見えになり、総勢30名近くが賑やかに、熱心に指導して頂いております。
我が馬術部は2021年に創部100周年を迎え、常に全日本学生の上位に位置し、戦前からオリンピック選手を多数輩出している馬術の名門校でも在ります。
オリンピック種目の中で、生き物をパートナーとする唯一のスポーツが馬術であり、学生達も休みなく馬匹管理と学業に一人一人が、伝統ある部の伝承者として役務を果たすべく、心を一つにして励んでいます。
又、現役部員には、馬文化の伝承が課せられ、馬術の技術向上は勿論のこと、馬文化の普及が要求され、アスリートだけに、目が往きがちですが、馬好きのファンを作るべく、馬と一緒に過ごしたい人、馬の手入れをしたい人、などにもクラブを開放し、好評を得ています。
更に社会貢献の一環として、専修大学のスポーツ施設を、近隣の少年達に開放し、家族ぐるみで楽しんでもらう企画や、毎年、全日本学生馬術大会が終わる11月中旬に大学職員と伴に乗馬教室を開催、子どもから大人まで、笑い声の中、曳き馬を、馬にニンジンをやったり、部員が障害の供覧を見せたり、馬を挟んで家族写真撮影も実施し、これまた企画、盛り沢山で好評を得ております。
終わると全員でバーベキューを囲み、話に花が咲き、先生達家族と部員達とのコミュニケーションが計られ、有意義な一目を双方、笑顔いっぱいで終了し感謝されています。
自分に厳しく、他を思いやり、質実剛健・誠実力行を以て、社会に貢献する気構えを持ち卒業して貰いたい。
そう思います。
平成26年12月吉日
専修大学体育会馬術部
監督
長島 修二
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